高校生 野球が僕という人格を作った 野球が僕の人生を狂わせた 「もっと練習しろよ」 「練習しなきゃ勝てないよ」 毎日毎日、一人遅くまでグラウンドに残ってダッシュを繰り返した 高校3年生 進学校の3年は、ほとんど部活を辞めている 一生懸命だった仲間たちも次第に受験にシフトしていった 僕はラストスパートをかけるように自分を追い込んだ あの3か月 僕は初めて「本気」を実感した 「あ~、本気ってこういうことなんだ」 どうしてもっと早く本気になれなかったのだろう 辛かったダッシュも 自分のためと思えたら辛くなくなった もう一本 あと一本 身体は疲れているはずなのに 心は躍動していた 打算もない 妥協もない ただ自分のために 白球を追いかけた夏は終わった 心はグラウンドに置いたまま 今もなお燻ぶっている