本大好きサラリーマンの小説㉘~長崎へ~

智美と別れた後
長崎に転勤になった
初めて長崎に降り立った日のことを今でもよく覚えている
長崎駅から路面電車に乗って
近くの不動産へ
マンションはちょっとお洒落な1DK

風情のある町
高校の頃、修学旅行で行って以来の町
坂の多い町

眼鏡橋
オランダ坂
水辺の森公園
出島

毎日一人で出歩いた
一人、眼鏡橋のベンチに座りながら
よくタバコを吸っていた

夜は空を見上げた

陽の長さに驚いた
20時過ぎてもなお明るさを保ったまま

僕は長崎が好きになった
町も人も好きになった

東京での喧騒が噓なくらい
穏やかな町だった

素直で素朴な人が多かった

東京で荒んだ心をこの町が、この人たちが癒してくれた

僕はこの町でしばらく生きていくんだ

初めて食べた五島うどんに感動した

魚の新鮮さに驚いた

見慣れた風景に、僕は飽きなかった

いつまでも座っていられた

ここで何が待っているんだろう

この風情ある町でどんな人たちと出会うだろう

毎日穏やかにワクワクしながら過ごした

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