アイロンと枕

アイロンをかける

このアイロンはもう何年使っているのだろう

社会人になってすぐ買ったから20年は使っている

この枕は何年使っているのだろう

大学1年の時に
実家から寮に送られてきた枕
もうかれこれ30年近くになる

この枕じゃなきゃ寝られないってわけじゃないけど
この枕じゃないと落ち着かない

それと同じなんだ君は
もう何十年も心の中で会っているから
君じゃなきゃ駄目なんだってことが

確かにある

歯車

結婚して
僕は孤独じゃなくなった
一人じゃなくなった

家の中では家族の息遣いが宙をさ迷っている
家のどこにいても
家族を感じる

家族は僕を感じているのだろうか
ふと
不安がよぎる

僕はちゃんと歯車になっているだろうか
小学1年の頃
兄の同級生に虐められていた
兄は小学5年生
生意気だったらしい

生意気だった僕は
虐められているという感覚はなかった
一人歯向かった
全然怖くなかった

父が、相手の親御さんのところに怒鳴り込んだらしい
虐めはなくなった
図太かったのか
鈍感だったのか

ダンプのおじさんに手を振るのが流行った
ダンプのおじさんは必ず手を振り返してくれた
ダンプのおじさんは大きかった
心が広かった


承認欲求

承認欲求があまりない

斜に構えるようなところがあって

素直になれない

本当は認めてほしいのに

認めてほしいって思わないって言ってしまう

承認欲求お化けは存在する

もっと、もっと

どれだけ認められても

もっとを欲しがる

素直に承認欲求を求められることが羨ましい

全く求めないのも

求めすぎるのも

闇を抱えているんだろうな

君のことを知りたい

君は今どこにいるの?

君は今何を思って生きているの?

君は今何を大事にしているの?

君の毎日はどんななの?

君の趣味は?

君の好きなことは?

そういえば、知っているようで知らなかった

もっと君のことを知りたかった

好きな作家さんは?

好きな食べ物は?

好きな歌手は?

変わったよね?

もうあの頃の君でもないだろうし

僕でもない

君の気持ちが知りたくて

恋する人はみな詩人

僕はもう詩人にはなれそうにない

君の気持ちが知りたかったあの頃が懐かしい

君の気持ちが分からなくて不安になったあの頃が懐かしい

恋をするから

言葉が生まれる

自分の内側から

言葉が溢れてくる

もう今は

陳腐な言葉だけ

感情のこもらない

用件を伝える言葉だけ

孤独と付き合う

孤独が二人を引き合わせる

人との繋がりを大事にしよう

そんな風に言われるけれど

孤独だから生まれた恋もある

孤独だから生まれた出会いもある

そして

本当に大切な人は

孤独から生まれているんだ

群れから飛び出よう

一度一人になってみよう

見えなかった物や人が見えてくる

孤独が力に変わる

力に変えるその日まで


瞼の裏

瞼の裏に
いつも笑顔の君がいる

目を閉じて
眠りにつく前の
ほんの数分
今日も君に会いに行く

深夜

この町は眠らないんだ
人、人、人
そういや自分も20代の頃は深夜に焼肉食べに行ってたな
深夜、仕事帰りにラーメン食べに行ってたな
それと同じか

深夜、仕事帰りにビールを買う
家で一人晩酌
何不自由なく暮らしている
妻がいて
子供がいて
家があって
仕事があって

平凡な日々だ
ドラマみたいなことは起こらない

自分の中でドラマを作る
絵を描く人
文を書く人
スポーツをする人
詩を歌う人
学校で教える人
パンを焼く人

僕は何の人なんだろう。

深夜、ビールを飲みながら
ふと思う。

本大好き サラリーマンの詩~僕には僕の~

僕には僕の
君には君の

僕にしかできないこともあれば
君にしかできないこともある

君にしかできないこともあれば
僕にしかできないこともある

それを全力で探すんだ
気づくんだ
そして
認めるんだ

僕にできないことは
君がやればいい

君にできないことを
僕がするから

自分にできることを探すことは
つまり
君にできないことを探すこと