あっ、あんっ、 隣の部屋から毎日のように聞こえてくる 木造なんだよ 家賃安いんだよ 壁薄いんだよ それでも、壁に耳をつけて聞いている僕。 股間に手が伸びる 屹立した性器を手でしごく 果てた後、虚しい気持ちになる 「何やってんだろう、俺は。。。」 男と女は結局セックスだ セックスなしでは生きていけない
本大好きサラリーマンの小説22~引っ越し~
栞と別れてしばらくした頃、 ある事件がきっかけで西八王子のマンションを引っ越すことになった。 ラーメン屋のアルバイトが終わって0時過ぎにマンションに帰ってきたら 部屋のドアのポスト入れがうんこで埋め尽くされていた これはなんだ? いたずらか? びっくりすると同時に怖くもなり すぐに引っ越しを決めた もう偶然、栞に会うこともないだろう。 家トラブル その後の人生でも起こった。。。 隣駅の八王子に引っ越した 木造2階建て ここでも隣人トラブルが発生することになる
本大好きサラリーマンの小説㉑~大学4年生~
大学生活も残り1年 就活で慌ただしくなる同級生。 金髪にしていた奴も黒髪に戻し始めた頃 僕は金髪坊主にした。 そういうところが、僕にはあった。 世の中の流れに反発するような 敢えてレールから外れるような だから、就活もしなかった コンビニのバイトは辞めて、ラーメン屋のバイトを始めた。 取り憑かれたようにバイトに明け暮れた。 ラーメン屋のバイトは楽しかった。 雇われ店長の加藤さん ギターを愛する松森さん バイト想いの市木さん ちょっとセクシーな由香さん その由香さんと不倫をしている太利さん ヤンキー姉さん美樹さん 同じ学生のチャーリー アル中の緒方さん 個性の強い人たちばかりで、気は紛れた 一度、美樹さんに酔った勢いで犯されそうになった。 由香さんは店のお金を取って逃げた 加藤さんとはいろいろ話した。 奥さんとは離婚して、男手一つで女の子三人を育てている。 松森さんはラーメン作りながら大声で歌っている 緒方さんは、いつもポケットに酒を忍ばせていた。 チャーリーは宗教の勧誘をしつこくしてきた まともな人は一人もいなかった。 それが良かったのかもしれない。 栞がいない日常に慣れてきた。 淋しさは自慰行為で紛らわした。 就職活動もせず、卒業後の進路も決まらないまま、22歳の誕生日を迎えた。
本大好きサラリーマンの小説⑳
別れた後、八王子駅の改札を出たところで、栞を見かけた。 目が合った と思ったのは僕だけだろうか。 栞、今も俺は不器用なままだ。あの頃と何も変わっていない。 伝えるのが下手なんだって。 変わってないよね? 歳だけとってしまった 別れてから付き合った人たちに、栞を重ねた ある人は「重い」と言った それ以来、栞のことを話したことはない 20歳秋、それから僕の感情は止まったまま。。。
本大好きサラリーマンの小説⑲~言葉は空に消え~
そこに浩二がいた。 僕がいた場所に浩二が座っていた。 カレーライスが二つ並べられていた 僕のためにではなく 浩二のために。 僕は栞をなじっただろうか。 浩二を殴っただろうか。 記憶が曖昧だ。 ただ なじったにせよ、なぐったにせよ 栞の気持ちが離れたことだけは分かった 何を言っても、何をしても、もう戻らない それだけは分かった。。 「栞に会いたいな」 空を見上げてつぶやいた 「栞と話したいな」 何度も思った 「栞だったら、なんて言うかな」 心の中の栞と会話した 言葉は空に消え 想いは燻ぶった 「同じ空見てんのかな」 栞の無事を祈った
本大好きサラリーマンの小説⑱
なんでこんなに不器用なんだろう 怒りを爆発させたあと、いつも後悔する 栞にも嫌な思いをさせていたんだろうな 僕たちは終わるべくして終わったんだ 浩二に取られたわけじゃない 栞の心が僕から離れてしまったんだ 僕の心もいつしか濁ってしまったんだ 別れる直前の頃を実はあまり覚えていない 何が引き金だったんだろう それとも 終わっていなかったのか 僕が勝手に終わらせたのか 天秤にかけられていたのか あの日の涙は何を語っていたのだろう
本大好きサラリーマンの小説⑰~心も身体も~
優子が家に遊びに来た 高校3年生のとき付き合っていた子 手も握らないような清純な付き合い 卒業前に自然消滅した 大学で東京に出てきていたことは知っていたから どちらからともなく、連絡をとり合うようになり 栞に悪いと思いながら、家で会うことになった 懐かしい話に花が咲き、盛り上がったあと、 そんな雰囲気になった 「栞も他の男とヤッてるんだ。俺だっていいだろう」 唇を合わせる 僕の手が優子の大きめの乳房を揉みしだく 優子の手が僕の股間をまさぐる そして、僕のそれを口に含む でも、駄目だった 僕の男根は全く反応しなかった 心も身体も栞を裏切ることは二十歳の僕にはできなかった 「何やってるんだろう俺は。。」 優子が帰った後、独り言ちた。 当時、寝っ転がって天井を眺めていた 何かの本で読んだのか 癖になっていた 寝っ転がって、大の字になって、天井を眺める そんなとき いつも「なにやってるんだろう、俺は。。」 とつぶやいた 不器用だな もっと人生楽しめよ みんなやってるよ? 僕にはできなかった
本大好きサラリーマンの小説⑯~懐かしい曲たち~
ドリカム「LOVE LOVE LOVE」 安室奈美恵「DREAMING I WAS DREAMING」 栞がカラオケで歌ってくれた globe 「love again」 あの頃を彩る 今聴いても思い出す なぜ、時は戻せないのだろうか 思い出があるから 人は生きていける 時は戻せても 気持ちは戻らない でも 確かにあの時、栞はそこにいた 聡志もそこにいた あの時の二人だからこそ惹かれ合えた お互いないものを埋めるように
本大好きサラリーマンの小説⑮~就職~
大学2年から3年になり、将来のことを考え始めた頃 将来やりたいことが分かっている栞と 何をしたいのか分からない聡志の間に 少しづつ溝が出来ていった 「私は学校の先生になるんだ」 出会ったころからぶれない目標をもっていた栞 何をしたいか分からず、時間を持て余していた聡志との間に 埋めることのできない温度差が生まれていった 「ただ会いたい」 幼い聡志の気持ちを栞はどう思っていたのだろうか。。。 「聡志も将来のこと考えなよ」 そんな言葉から逃げていた そんな聡志に栞は愛想を尽かした。。
本大好きサラリーマンの小説⑭~重い想い~
僕は人と打ち解けるのが下手だった 人見知りではないのだが、時間が経てば仲良くなれるタイプでもなかった 合わない人とは、ずっと合わない 打ち解けられる人は片手で数えられるくらいだった 表向きは楽しそうに話していても、本心を見せることができなかった いつも客観的に自分をみていた 「笑っていればいい」 処世術 あるとき気づいた 笑っていれば、うまくいく そんな生活に疲れていた そんな自分が嫌だった そう思うことで、より深く自分の殻に閉じこもっていった 「栞ならわかってくれるはず」 その想いが栞には重かったのかもしれない 心が遠くなっていった