愛を注ぐ

深く愛した日もあれば
そうではない日もあった

俺もそうだ

聡志と栞は似た者同士だったのかもしれない

ずっと愛を注いでくれる人が必要なのかもしれない


性癖

妻の股に顔を埋め
舐める

気持ちよがる妻を見て
僕は冷静になる

そんな自分を変わっていると思う
普通ならそこから挿入するんだろう

僕は、舐めるだけで満足する
家族が違う男に乗っ取られる

家にも出入りしていた人で
最初は敬語で喋っていたのに
いつからか、お互いため口で話すようになっていた

それを、偶然聞いた

あー、この二人はできているんだ

そんな状況に興奮する僕は、性的マイノリティだろうか

それとも

マジョリティだろうか

家に帰ったら、二人が二階でセックスをしている

そんな状況を想像すると興奮する

そんな僕はマイノリティだろうか

何が僕をそうさせるだろう

そう感じさせるのだろう

セックスなしでは生きられない

セックスなしでは生きられない

きょうもせっせと腰を振る
腰を振りながら妙に冷静になっている自分がいて
萎える

必死に奮い立たせて
また
挿れる

終わった後に抱き合ったのは
いつの日か

終わった後に抱き合いたいのに
そそくさとベッドを後にする

明日の朝
きついって分かっていても
やめられない

頑張って腰を振る

アイロンと枕

アイロンをかける

このアイロンはもう何年使っているのだろう

社会人になってすぐ買ったから20年は使っている

この枕は何年使っているのだろう

大学1年の時に
実家から寮に送られてきた枕
もうかれこれ30年近くになる

この枕じゃなきゃ寝られないってわけじゃないけど
この枕じゃないと落ち着かない

それと同じなんだ君は
もう何十年も心の中で会っているから
君じゃなきゃ駄目なんだってことが

確かにある

歯車

結婚して
僕は孤独じゃなくなった
一人じゃなくなった

家の中では家族の息遣いが宙をさ迷っている
家のどこにいても
家族を感じる

家族は僕を感じているのだろうか
ふと
不安がよぎる

僕はちゃんと歯車になっているだろうか
小学1年の頃
兄の同級生に虐められていた
兄は小学5年生
生意気だったらしい

生意気だった僕は
虐められているという感覚はなかった
一人歯向かった
全然怖くなかった

父が、相手の親御さんのところに怒鳴り込んだらしい
虐めはなくなった
図太かったのか
鈍感だったのか

ダンプのおじさんに手を振るのが流行った
ダンプのおじさんは必ず手を振り返してくれた
ダンプのおじさんは大きかった
心が広かった


承認欲求

承認欲求があまりない

斜に構えるようなところがあって

素直になれない

本当は認めてほしいのに

認めてほしいって思わないって言ってしまう

承認欲求お化けは存在する

もっと、もっと

どれだけ認められても

もっとを欲しがる

素直に承認欲求を求められることが羨ましい

全く求めないのも

求めすぎるのも

闇を抱えているんだろうな

君のことを知りたい

君は今どこにいるの?

君は今何を思って生きているの?

君は今何を大事にしているの?

君の毎日はどんななの?

君の趣味は?

君の好きなことは?

そういえば、知っているようで知らなかった

もっと君のことを知りたかった

好きな作家さんは?

好きな食べ物は?

好きな歌手は?

変わったよね?

もうあの頃の君でもないだろうし

僕でもない

君の気持ちが知りたくて

恋する人はみな詩人

僕はもう詩人にはなれそうにない

君の気持ちが知りたかったあの頃が懐かしい

君の気持ちが分からなくて不安になったあの頃が懐かしい

恋をするから

言葉が生まれる

自分の内側から

言葉が溢れてくる

もう今は

陳腐な言葉だけ

感情のこもらない

用件を伝える言葉だけ