本大好きサラリーマンの小説㉜~幻想~

誰かを好きになる度に

栞のことを思い出す

栞に語りかける

智美に話して以来

栞のことを人に話したことはない

自分の恋愛を人にはなすとき

自分の過去を話すとき

栞のことは話さない

でも、多分あそこにいたのが本当の自分で

それを知っているのは栞だけ

幻想なのだろうか

今会ったら幻滅するのだろうか

過去をさまよいながら生きている

栞のことを思い出す時

僕は独りになる

独りを感じる時

栞を思い出す

一人じゃないって思える

矛盾してる

独りを感じる時

栞に話しかける

僕は今どこを歩いているのだろうか

僕は正しい方向へ向かっているのだろうか

僕は今、自分に正直に生きているのだろうか

栞

今でもたまに夢に出てくる

目が覚めた時

このまま目が覚めなければいいのにって思う

夢の中ではいつも笑っている


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