栞はいつも僕の心に問いかける 栞はいつも僕の思考の上をいく 恋人に栞を重ねる 25歳のときに付き合った智美には 僕の過去を知ってほしかった 栞とのことも知ってほしかった 赤い交換日記も見せた 「なんでこんなもの見せるの?」 「こんなもの見せて私にどうしろって言うの?」 そう言って智美は泣いた。 智美とは結婚前提に付き合った 同棲もしていた 結婚の話もまとまりかけた頃 栞から連絡があった 「あなただけ幸せになる気?」 記憶の断片を辿る 僕は知っていたのか 知らなかったのか 記憶が曖昧になる 結局、智美とは別れた 僕はどこかで栞を求めていた 智美とも、栞のときと同じ気持ちになれると思っていた でも、なれなかった。